総務省行政評価局は、「行政評価等プログラム」(24年4月総務大臣決定)に基づき、震災対策、原子力防災対策をはじめ、関係行政機関の動向、社会的な問題発生状況等について、常時監視活動を行い、必要に応じて、機動的に対応することとしている。
総務省は11日、昨年8月に公表した「東日本大震災に伴う国の資格試験や免許証等の再交付手数料に係る特例措置」のその後の実施状況をまとめ、公表した。それによると、国の資格試験に係る特例措置について、被災者支援の観点から、証明書類の提出期限の延長、試験日の変更等何らかの特例措置を実施しているものは、156制度中91制度と半数を超えた。このうち、震災前に行われた試験の合格発表後の証明書等の提出期限の延長等が32制度、試験日の変更、追加試験の実施、受験料の返還、次回以降への振替、再受験がそれぞれ19制度などとなっている。
今回把握を行ったのは、国の資格制度313制度のうち、資格の取得方法が試験によるもの158制度の24年3月末までの特例措置の実施状況。
把握の対象とした資格制度158制度のうち、試験が年に1回の111制度で試験の実施時期別に特例措置の実施率をみると、震災前と震災直後の1月から3月までは100%で、その後徐々に減少したものの、24年1月から3月までには上昇している。24年1月から3月までの上昇は、東日本大震災の影響により住所地以外での生活を余儀なくされている避難者に配慮し、前年の試験と同様に住所地以外での手続を認める特例措置を実施したもの。
111制度について、試験の実施時期別に講じられた特例措置の内容をみると、震災前後の1月から3月に実施された試験では、「証明書類の提出期限の延長等」の割合が9割を占め、時間の経過とともに「試験地追加、他試験地への変更」「申込期間の延長」の割合が高くなってきている。
また、受験者数別に特例措置の実施状況をみると、1000人以上5000人未満の試験が57・1%で最も高く、次いで5000人以上の試験が54・9%となった。ただし、1000人未満の試験でも31・4%で実施していた。
24年3月31日時点で特例措置を実施していないものは65制度あり、主な理由は、「試験の実施時期が震災から一定期間経過しているため」が41制度で最も多い。
免許証等の再交付手数料を免除する特例措置を実施しているものは、122制度中36制度であった。特例制度を実施していない86制度の主な理由をみると、「被災により免許証を喪失した場合、一定期間有効な登録済証明書等を無料で発行することとし、実質的に特例措置を講じているため」が最も多く41制度であった。
調査結果は、関係省庁に対し資格試験等を実施する際の参考にするよう通知する。また、今後の行政評価局調査に活用される。
衆議院の決算行政監視委員会は昨年11月、行政のムダの洗い出しに向けた「事業仕分け」を国会内で初めて実施し、厚生労働省が所管する分野として診療報酬明細書(レセプト)の審査支払事務を俎上に載せた。
「仕分け人」を務めた国会議員からは、審査支払事務を担っている既存の二つの組織を統合することで、コストの削減に繋げるよう求める意見が続出。昨年12月にまとめられた決議では、「審査の効率化を図り、医療費を削減するため、統合に向けた検討を速やかに進めるべき」と提言するとともに、民間企業の参入を促す環境を整備することなども検討するよう求め、6ヵ月以内に取り組みの進捗状況を報告するよう指示した。
レセプトの審査支払事務は現在、「社会保険診療報酬支払基金」と「国民健康保険団体連合会」の二団体が実施している。支払基金が被用者保険のレセプトを、国保連が国保のレセプトを、それぞれ担当。1月あたりの審査件数は、支払基金が約7、140万件、国保連が約7、820万件と、2団体で約1億5、000万件にものぼるレセプトを毎月チェックしている。
ただ、2団体が膨大な量の審査をこなしている一方で、その体制が抱えるムダ・非効率を指摘する声が尽きないのも実情だ。2団体が審査支払事務をほぼ独占していることや、担当する保険者が固定され競争原理が働いていないことなどに加え、厚労省からの有力な天下り先になっていることが背景にある。また、不適切なレセプトを見つけて減算に繋げた割合を示す「査定率」が低い水準に留まっていることも、多くの場面で批判の対象とされてきた。
このため、現状の業務体制を改善し、審査の質の向上や業務の効率化を図るよう求める声は強い。政権交代直後に行われた行政刷新会議の「事業仕分け」第1弾でも、2団体の統合を含めた組織体制の改革に踏み切り、その機能を高めるよう求める判定が下されている。
だが、こうした「事業仕分け」の判断は、審査支払事務の関係者には好意的に受け止められていない。
社会保障審議会・医療保険部会は今月11日の会合で、審査支払機関を統合する構想の是非をめぐって議論した。市町村などの医療保険者を代表する委員からは、「コスト削減を統合によって達成できる根拠はない」「地域の実態を踏まえたきめ細やかな保険事業の実施にも弊害が出る」など、統合によって生み出される効果・メリットを懐疑的にみた慎重論が続出。支払基金と国保連による現行の体制を維持しつつ、より効率的な仕組みの構築に向けて必要な改善を行っていくことを支持する意見が相次いだ。国会議員が主導した「事業仕分け」の提言に対し、関係者が「NO」を突きつけた格好だ。
関係者が強硬に反対している以上、法的拘束力のない「事業仕分け」の提言を実行に移すことは、現実的には難しいだろう。だが、レセプトの審査支払事務の効率性を高め、増大を続ける医療費の伸びを少しでも抑えていくことは、極めて重要な課題だ。小宮山洋子大臣を中心とした厚労相の政務三役には、より中長期的な視点からどちらの意見が理にかなっているか検討し、組織の利権に捉われない責任ある判断をしてほしい。検討にあたっては、今後の医療保険制度改革の方向性も踏まえ、日本の医療の将来像にマッチした仕組みをつくる視点も重要だ。
5月21日は、天気がよければ関東地方など多くの地域で「金環日食」が見られる。日食は、太陽の前を横切る月によって、太陽が隠される現象。特に21日の金環日食は、月が太陽よりわずかに小さく見えるため、太陽の周囲が円環状に見えるというもので、これほど広範囲にわたり見られるのは、1080年以来、932年ぶり。今年最大の天体イベントで、観察グッズがヒット商品になるなど、盛り上がっているが、国立天文台では、目を傷めないよう、専用グッズを使ってみるよう注意を呼び掛けている。
国立天文台によると、今回、金環日食が見られるのは、九州地方南部、四国地方南部、近畿地方南部、中部地方南部と関東地方。金環日食が起こらない地域でも、全国各地で太陽が大きく欠ける部分日食を見ることができる。
国内での金環日食は、1987年9月に沖縄で見られて以来25年ぶり、また次回国内での金環日食は、北海道で18年後の2030年6月1日となる。
このように、なかなか見られない金環日食。ぜひ逃さすに目に焼き付けておきたいところだが、国立天文台では、観察の際の注意事項をホームページ等に掲載し、注意を促している。
まず、日食の観察には危険が伴うと指摘し、「金環日食の最中も含め、どんな太陽が欠けた状態でも太陽をそのまま直視してはいけない」としている。
また、日食専用グラスの代用品として以前から使われてきた下敷きや、すすを付けたガラス、色ガラス、サングラスなどを通して観察することも、一部例外があるものの、危険と指摘。「目に見えない有毒な光が眼の奥に届いて網膜を傷つけ、その結果、失明したりする可能性がある」と警鐘を鳴らしている。過去の日食でも、危険な方法で観察したため、網膜が傷ついたとの事例が複数報告されている。
一方、太陽を欠けているところを安全な方法で観察することは、子供たち自然や科学への関心を高めることにつながるため、天文台では、「日食専用グラス」を使うなど、安全な観察方法を提示している。
また、太陽を目で見なくても、小さな穴を通して日食中の太陽の像を投影する方法である「ピンホール投影法」を推奨。さらに、同じ原理を利用して、木の葉を通して地面にできる〝木漏れ日〟でも太陽の像を観察できることができるとしている。
・6月には「金星の太陽面通過」
さらに、21日の金環日食後も、天体イベントは続く。6月6日には、「金星の太陽面通過」が発生。金星は地球の内部を回る惑星で、ごくまれに『太陽―金星―地球』と直線上に並ぶことがある。
このとき、月による日食と同じ原理で丸く小さな金星が太陽面を移動していくようすが観察できる。
金星の太陽面通過は、今回見逃すと、次回は2117年12月。21日の金環日食を見ても、まだ専用グッズは捨てずにおこう!
《日食が見られる主な地点》
東京 6時19分 7時31分 7時37分
静岡 7時29分 7時29分 7時34分
京都 6時17分 7時30分 7時31分
高知 6時15分 7時25分 7時28分
鹿児島 6時12分 7時20分 7時24分
(左から 地名、食の始め時刻、金環日食始め時刻、金環日食終わり時刻)
独立行政法人科学技術振興機構(JST、中村道治理事長)は、電子ジャーナル発信プラットフォーム「J―STAGE」に新しいシステムを導入し、5月1日から全面リニューアルした。さらに、J―STAGEを通じて学協会が発行する学術論文誌に、論文剽窃(盗用)検知ツール〝CrossCheck〟(クロスチェック)を導入した。
日本の学協会などの科学技術情報発信力の強化を目的とし、学術論文の電子ジャーナル出版をしているJ―STAGEは、今年3月末で約1000誌(60万記事)の学術論文誌、予稿集などを公開し、世界各国から毎月約700万件のアクセスがある。
1999年の運用開始から13年経過し、これまでも2003年にシステムのリニューアルを行ってきたが、ユーザーインターフェイスや機能面を中心にさらなる改善が必要となっていた。
そこでJSTは、ユーザビリティーの向上と国際発信力のさらなる強化を目的として、2009年から新システムの開発を進めてきた。
(アーカイブサイトを統合)
新しいシステムでは、登載する論文情報の形式を国際標準のXML形式(JATS)フォーマットに移行、これまで別々のサイトだったJ―STAGEとアーカイブサイト「Journal@rchive」を統合し、デザインやインターフェイスを一新、論文の管理機能を強化した。
これにより、日本国内の学協会が発信する論文情報の汎用性・再利用性が向上し、利用者は19世紀までさかのぼる貴重な論文を含め、2012年4月時点で総計約230万記事を1つのサイトで検索・閲覧できるようになる。
この他にも、新システムにあわせ、XML形式でのデータ作成ツールや投稿審査システムの改善などを行い、学協会の作業負担を軽減している。
(編集機能支援ツールも導入)
また、近年、学術論文誌ではインターネットを通じて閲覧できる電子ジャーナルが広く普及し、論文の電子投稿も増え、デジタル化が進んでいる。論文のデジタル化は論文情報の新たな再利用を可能にしているが、一方で、複製・転写など論文のテキストやデータの再利用も容易にできるため、盗用などの不正行為のハードルを下げるという側面も持ち合わせている。
実際に、学術誌の編集過程で、二重投稿や盗用などの増加が顕在化し、学術情報流通において国際的な問題になっている。
同様の問題がJ―STAGEを利用する学協会からも指摘されており、JSTでは、英文の論文で世界的に広く用いられている論文剽窃(盗用)検知ツール〝CrossCheck〟を導入し、学協会でも学術誌の編集プロセスで利用できるようにした。
J―STAGEでは、電子ジャーナルや論文の機能面の向上による発信・流通の促進を図ると同時に、今回のCrossCheck導入をはじめとして、学協会における編集機能の強化と日本の学協会発行論文のさらなる品質向上をサポートしていく方針だ。
汎用性の高い小麦品種に「農林61号」があり、うどんなどの日本めん用のほか、丸ぼうろ、黒棒などの地域特産品などに広く利用されている。しかし、この品種は熟期が遅く長稈のため、登熟後期の雨で倒伏しやすいことや、コムギ縞萎縮病に弱く作付けできる地域が限られることなどから、需要はあるにもかかわらず生産量は低下を続けている。
このような状況のなか、(独)農研機構九州沖縄農業研究センターは、「農林61号」と同様のでん粉特性を持ち、日本めんだけでなく菓子等にも利用できる新しい小麦品種「ちくごまる」を開発した。
この品種は早生化により、農林61号に比べ出穂期で6日、成熟期で3日早い。稈長は約10㎝短い85㎝程度で耐倒伏性も強く、登熟期の雨による障害を回避しやすくなっている。コムギ縞萎縮ウイルスの抵抗性を持ち、穂発芽耐性でも農林61号と同程度に強いなどの特徴を持っている。
もう一つの問題として、12年の麦類の民間流通への移行後、日本めん用のでん粉中のアミロース含量が低いタイプの品種の生産過剰があげられる。低アミロースタイプの小麦はめんの食感を良くするが、菓子などへの加工適正が低く、汎用性に劣る。このため生産年の作況により、落札価格が大きく変動したり、貯留のコストがかかるなど、生産者から実需者までの経営に大きな影響を与えている。
「ちくごまる」は、早生だが秋播性が強く、遅霜の害に遭いにくい性質を持つ高品質の日本めん用品種を目標として開発されたが、菓子などへも利用できるよう、通常アミロースタイプである農林61号と同様のでん粉特性となっている。また、日本めん用としても農林61号より優れており、同等の汎用性を備えている。
今後は暖地向けの早生品種としての普及が期待されており、今年から現地実証ほ場での試験栽培が始まる。また、今年度の生産物を用いて最終製品にまで加工を行い、実用レベルでの加工適正の評価が行われる予定になっている。
麦作は雨との戦いであり、1年かけて育ててきた麦が数日の刈遅れで廃棄処分となることもある。「ちくごまる」の普及で登熟期の雨による被害を緩和し、生産量を安定化させることがみこまれている。また、それにより食料自給率の着実な向上も期待されている。
ちくごまるの加工適正
※ 日本めん(うどん)食味試験
【品種名】 外観 食感 食味(15) 合計(100)
色(20) かたさ(10)粘弾性(25)滑らかさ(15)
【ちくごまる】 14.9 7.3 18.6 11.6 10.9 74.6
【農林61号】 13.9 7.0 17.9 10.8 10.5 70.3
【シロガネコムギ】 14.7 7.2 18.3 11.1 10.7 73.0
【チクゴイズミ】 14.5 7.0 18.8 11.9 11.0 74.2
※ スポンジケーキ焼成試験
堆積(ml) 比容積(ml/g)
【ちくごまる】 1066 3.73
【農林61号】 1075 3.85
【シロガネコムギ】 1058 3.76
【チクゴイズミ】 1012 3.58